始まりと終わりとつながり――脱ニヒリズムのススメ

二十年ほど前に亡くなった祖母の痩せこけた頬は冷たかったが

きのう抱きかかえた友人の赤ちゃんはふっくらしていて温かかった

この子は二十二世紀を見られるのだろうか


たくさんのはじまりとおわりを

縦横に編んでいくと

どんな模様ができるのだろう


難病にかかったある女の子は

お別れの間際

目を閉じたまま

のどをかきむしった

そして

静かに

一筋の涙を流し

九歳でその命を終えた


お別れの間際には

きっと

人生で味わったことのない強度の

恐怖

悲しさ

寂しさ

を感じるのでしょう

そして

心は澄みわたり

最もきれいな

「ありがとう」

が湧き出てくるのでしょう

「託す」という言葉とともに

あるいは

無念とともに


みんな例外なく

最初は赤ちゃんだった


始まりがあって

たくさんの

出会いと別れを繰り返し

やがて

終わりを迎える

そして

つながっていく


命は

ぼくたちの一生という

それに比べればあまりにも短かすぎるたすきとは

比較することのできないくらいにとおいとおい過去から

一度たりとも途切れることなく受け継がれてきた


その短すぎるけれども

丁寧に味わえばきっと十分に長い

たすきを大切にしたいし

引き継ぎ

つなげることに

自覚的でありたい

始まりと終わりとつながりを大切にしながら生きるとき

そこにはニヒリズムとは無縁の世界が広がっている