怪我や失敗の予防法

年を重ねるにつれて、幼い頃によくやった種類の失敗や怪我はしなくなるようである。このことは、自身や身近な人を見ていても明らかである。例えば、道を元気よく走っていて急に転んで泣く子どものような大人は見たことがないし、ストーブの後ろにたまたま置いてあったお菓子をとろうとして夢中で手を伸ばして、ストーブが目に入らずやけどをしてしまう大人はきっといないだろう。

スポーツや技事、生きることの習熟のために、失敗は欠かせない。他者に対する損害を考慮しなければ、失敗は、そこから学びを得られるとき、ほどほどで済んでいる限りにおいては、経験と学びでワンセットの成功と言うこともできるだろう。

また、人間万事塞翁が馬とは如何にもその通りで、人生において失敗と思っていたことが後に転じて福となることはたくさんあるのだろう。

しかし、同じミスを何度も繰り返すのは愚かであるし、無用な失敗や事故や怪我、修復不可能な失敗や怪我というものは、自他のためできる限り避けたいものである。

私は三十年近く生きてきた。つまり三十年分の失敗を積み重ねてきた。その結果、失敗や怪我をするときのパターンとその予防策いうものが少しだが見えてきた。そこで、ここでは日常生活において起こりやすい失敗や事故の予防のために私が普段意識している「失敗のパターン」を九つ紹介してみよう。


1.調子にのっているとき

例)ふざけて変な動きをしながら飛び跳ねたり、プロレスごっこをしていて家具の角にスネをぶつけてしまう。競馬で万馬券をとって羽振りよくおごりまくっているうちにトータルマイナスになってしまう。初めてのパチンコで十万円ほど儲かって楽勝と思って通っているうちに散財してしまう。何かで成功したり儲かって天狗になっているうちに、ふと気づくと借金まみれになっていたり、容疑者になってしまっている。


2.横着するとき

例)食事が終わって牛乳(パック)と食器とヤカンとドレッシングを一度でキッチンに運んでやろうと無理をして、牛乳をこぼしてしまい、しばし呆然としてしまう。ツタヤの前でDVDを返却するわずかの間だけだから大丈夫だろうと、バイクを路駐していて五分も経たないうちに駐禁をとられてしまう。同じようなパターンで自転車を撤去されてしまう。


3.焦っているとき

例)集合時間に遅れそうになって慌てて家を飛び出して、バイクに跨ってからコンタクトをしていなかったことに気づく。間に合おうとして、焦って運転をして事故に遭う。天ぷら油が発火して焦って水をかけ被害の拡大を招いてしまう。


4.欲が強すぎたり、飢えているとき

例)ワイドと馬連をどのような資金配分で買うのか迷ったあげく、欲を出し馬連のみで勝負し失敗する。多額の借金を抱えていたり、お金に対する執着が強すぎて、マルチや投資などのきな臭い話にひっかかる。寂しい時(愛情が枯渇しているとき)優しく接してくれた人に対して無警戒になりだまされる。


5.感情が乱れているとき

例)怒ってモノにあたって手を怪我してしまったり、後でそれが壊れたことを後悔する。他人から聞いた、自分の嫌いな人やモノの悪口を無批判に信じ、受け入れてしまう。


6.疲れているとき、うわの空になっているとき

例)車で信号待ちをしているとき居眠りをしてしまって、夢の中で前の車にぶつかりそうになって思いっきりブレーキを踏んだところ、リアルの世界ではアクセルを思いっきり踏み込んでしまっていて前の車に突進してしまう。そして慌てて前の車の運転手さんに「大丈夫ですか!」と駆け寄ると、「大丈夫なわけないやろ」と冷静に言われて困ってしまう。


7.普段しない動きを無理にするとき

例)普段全く運動していないのに、準備体操もせずいきなりサッカーをして筋を痛める。ヨガの慣れないポーズを無理にしていて背中を痛め、お医者さんに診てもらったところ、「背骨がまっすぐになりすぎとる」と言われ、どのくらい曲がっていればよいのかわからなくなり困ってしまう。ペーパードライバーが慣れない土地で長時間運転し疲労困憊の末、時速70キロで農道へ左折進入し、死にかける。普段1キロ程度しか走っていないのにいきなりハーフマラソンにチャレンジした結果、ひざを怪我し回復に数ヶ月かかる。


8.緊張しているとき

例)バレーの練習ではアタックが決まりまくるのに、試合になると全く決まらない。発表で緊張しすぎて声が裏返ったり震えたりする。日本シリーズ終戦で先発を任され緊張のあまり制球が定まらない。


9.新しいことにチャレンジするとき

例)外国語がなかなかうまく話せない。ギターを練習し始めたがなかなかうまく弾けない。自転車に乗れるまでに何回も転んでしまう。




上記1から7はいずれも、いっぱいいっぱいで余裕がなかったり、油断していたり、煩悩に支配されているという共通点があります。このパターンの失敗や怪我はできるだけ避けたいものです。一方で、8や9のようなパターンの失敗は避けすぎず、適度なストレスの範囲内で自分のペースでトライしていけばよいのだと思います。それが上達の秘訣でしょう。

皆さんもなにか失敗例や失敗パターンがあればぜひ教えてください。

なお、上記具体例は半分以上私の実体験ですが、全てではありませんので、あしからずご了承ください。