倖田來未はエロい!

 
 ID不明の鳥。

 ID不明の木。

 IDって エロに見えるなぁ。

 IDを取得する。そのものを 同じものとして見る。言葉を与えてしまうことで そのものがエロくなくなる。そういうことって多いと なんとなく思う。

 エロいって 感情が高ぶること。

 その鳥が 「サギ」であると知ってしまったときの興ざめ。

 奇妙なその木が 「カツラ」であると知ってしまったときの 安心してしまうムナシさ。

 その得体の知れない人が 「何々大学出身で株式会社何々一筋の部長さん」であると知ってしまったときの 自分の中でカテゴライズされる感じ。

 どれも一気にエロくなくなる。名前を与えてしまうことで もの自体を見なくなる。感じなくなる。

 逆に 自分の目の前にある「スーパーで買った玉子焼き」が どういう経緯で目の前にあって どういうものなのかわからない そういうものとして 恐る恐る口に運んでみる。一気にエロくなる。

 「ID」は「安心」で 「安心」と「エロ」は相対する。つまり IDとエロは似ているようで 仲が悪い。

 本当にエロい人は エロいものにIDを与える。つまり 安心を与える。その後、エロくない人がアリの行列のように続く。

 ずっとエロくあるためには 名前のないものを感じなければならない。

 そういう意味で アーティストはエロい。
 
 つまり 倖田來未はエロい。

 おわり