いろんなスイカがあっていい


日本とおりあいが悪い

三十年近く生きてきて

まだおりあいが悪い

どうしたらいいのだろう



息が詰まる

ジメッとしていて

小さすぎて

狭すぎて

気力を吸い取られる



ぼくは

寝返りをうちながら

大の字で寝たい

他人の手が少しくらい当たってもいい

そんなのがいい

細かいことを気にしなければ

魂は生き返る



むかし

スーパーで四角い箱に入れて育てられた

立方体のかたちをしたスイカを見たとき

泣きたくなった


現代の日本では

朝青龍亀田興毅君のような

日本ではあまり見られないスイカを見ると

口を揃えて「おかしい」と言う

もともといろんなかたちのスイカがあれば

騒ぐことでもない

取るに足らないことで

何をたいそうに騒いでいるのだろう

まだ日本が文明化されていないから仕方がないのだろうか



ぼくは日本語でモノを考える

日本の風土に根差した知恵と感性を持っている

日本の文化は異国の文化と同じくすばらしい

誇りをもっている

だからこそ

文化を引き継ぎ

現代の温度にアップデートしたい



適度の規格化は秩序を生むから大切だ

けれども

度が過ぎるモノカルチャー

戦争を呼び寄せるからよくない

モノカルチャーはもういい

それは戦時中において効果的な作物の育成方法だ

もう

そんなのはいやだ*1



超ネガティブなやつがいてもいいし

ポジティブなやつがいてもいい

引っ込み思案なやつがいてもいいし

調子にのっているやつがいてもいい

協調性のない君

おおいにけっこう

協調性のあるやつも最高だ

コミュニケーション能力が全くなくてもいい

社交的なやつもすばらしい

人の気持ちをくみとれるやつはステキだ

計画性のないやつがいてもいい

計画性のあるやつがいてもいい

イラクに行くやつがいてもいい

行かないやつがいてもいい

こころの狭いやつがいてもいいし

こころの広いやつがいてもいい

礼儀正しいやつがいてもいいし

無礼者もいるほうがいい

原理主義者がいてもいいし

仏陀がいてもいい

なんでもいい

ただ

たくさんの人間が

そろいすぎているのだけが

気持ち悪い



ひとりひとり

ユニークなひとつしかないスイカではあるけれど

ある面で似たかたちをしているものが多かったり

かたちの押し付けが強すぎるところがある



要素を愛してシステムを憎め



思えば

ずいぶん窮屈なワクに押し込められて生きてきた

本当はみんな

もっとイキイキと生きることができるのに

今の日本の*2システムは

ずいぶん多くの才能を殺しているように思えてならない

ひとりひとり

もっともっと秘められた才能を持っているように

ぼくには見える

*1:アンパンマン

*2:教育を含む