木の詩


 木は優しい

 幹に時間が流れているから

 ひとつひとつ

 ユニークなかたちをしているから

 じぶんの

 目の前の人の

 遠くにいる人の

 はじめて会った人の

 すずめの

 かまきりの

 幹を見たい

 枝は幹から生えていて

 地下では

 背の高い根っこが

 必死で大地をつかんでいる

 見える世界に安住せずに

 見えないものをこそ見たい

 木は本当は背が高い