今日のおすすめの二冊


遅刻・締切 いつもルーズな人のクスリ (アスカビジネス)

遅刻・締切 いつもルーズな人のクスリ (アスカビジネス)


 言われてみれば当たり前ってことしか書いてないんですが、「何かができない人」にとってはそれをするのが大変なんですな。意識化するという意味で座右に置いてしょっちゅう開こうと思ってます。読みやすくて、意志さえあれば、無理なく実行できそうで、いい本です。
 1章は遅刻の起源。日本では明治初期に鉄道が普及して、安全面などからダイヤに正確性が求められるようになった。それが直接のきっかけとして「遅刻」が生まれたそうです。それまで日本人はめちゃくちゃルーズだった。なぜか。江戸時代は、不定時法といって、一日を昼と夜にわけ、それぞれ六等分した時刻(明け六つ、暮れ六つ)を使用していた。従って、当然毎日時間の長さが変わってくる。そんな不定時法で六等分された時刻に鳴らされるドンの音により民衆は時刻を知った。これでは何時何分という待ち合わせの仕方は現実的には不可能だ。ハナっからそんな待ち合わせはしない。うらやましい。
 2,3章では、遅刻と先延ばしの原因と対処法。要するに、睡眠と準備をしっかりしましょうと。
 4章では、具体的な準備の仕方。つまり、スケジュールの立て方、守り方。
 5章はヘコみがちな人必見です!
 6,7章は、睡眠について。朝すっきり起きたいですね!
 8章はうつ病などについて。あなたが遅刻するのは、病気のせいかもしれない。


遅刻の誕生―近代日本における時間意識の形成

遅刻の誕生―近代日本における時間意識の形成


 この本、マニアックですが面白いです。

 本書のほんの一部、産業革命と鉄道という観点から見た、日本と西洋の時間感覚の変遷を紹介しておきます。

 日本では明治初期に鉄道が普及して、安全面などからダイヤに正確性が求められるようになった。それが直接のきっかけとして「遅刻」が生まれたそうです。それまで日本人はめちゃくちゃルーズだった。幕末に日本に来ていた外国人技術者は、「日本人の悠長さといったら呆れるくらいだ」と書き残している。なぜか。江戸時代は、不定時法といって、一日を昼と夜にわけ、それぞれ六等分した時刻(明け六つ、暮れ六つ)を使用していた。従って、当然毎日時間の長さが変わってくる。そんな不定時法で六等分された時刻に鳴らされるドンの音により民衆は時刻を知った。これでは何時何分という待ち合わせの仕方は現実的には不可能だし、ハナっからそんな待ち合わせはしないし、する必要もない。
 
 他方、西洋では、14世紀に機械時計登場、15世紀には定時法が普及した。遅刻にうるさくなったのは、18世紀の産業革命以降である。産業革命前には、日曜にしたたか酒をのんで月曜はさぼる、といったことも日常茶飯事だった。しかし、産業革命により、工場に高価な機械が導入されることにより、作業者は機械の始動時間に合わせて仕事を開始することが強制されるようになる(時間規律の励行)。そのため、サボることはもちろん、遅刻も厳しく罰せられるようになった。さらに、19世紀の鉄道の普及が時間規律の励行に拍車をかけた。

 ここでは具体的には書きませんが、そのほかにも面白い観点が盛りだくさんで、読むに値する一冊です。「時は金なり」とは、誰が言い出した言葉で、どういう意味なのか?時間はお金にも勝るほど、大切なものだ、と言う意味なのか。それとも時間イコールお金なのか。本書を読めば、当たり前と思っている現代の就労形態を相対化できると思います。
 
 なぜ時間を厳守したいのか?しなければならないのか?

 という質問を自分にして、そこから掘り下げてみると面白いです。千年後の人間から見れば、血眼になって労働しまくってる我々はバカかもしれません。カシコかもしれません。どうでしょう。

 もう一つ。

 昨日、アネガレズデスという名の馬が競馬ゲームにいるということを小耳にはさみました。