見習うべき小学校二年生の男の子

今日の毎日新聞で心温まる素晴らしい文章に出会った。青少年読書感想文府コンクールで小学校低学年の部の京都市長賞を受賞したノートルダム学院小2年・佐竹竜弥君の「ぼくがラーメンたべてるとき」という本の感想文である。

http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20090203ddlk26040568000c.html

もともとが短い文章なのだが、抜粋し要約したのが以下である。

読んでみると、ぼくがラーメン食べてるとき、となりでミケがあくびして、ミケがあくびしたとき、となりのみっちゃんがチャンネルかえて……

ぼくからはじまって、となりの町、となりの国へとつながって、ぼくの知らない山のむこうの国で、一人の男の子がたおれていました。たおれた男の子がうごかなくなり、風がふいているところは、とてもかなしくて、今まで楽しかったお話が、とつぜんちがうものになって、おどろきました。

そのときぼくは、テレビで見ているいろいろなニュースを思い出しました。じしんや大雨でこまっている人たちや、ちがう国同しがせんそうをして、かなしんでいる人たちのことです。

ぼくが、毎日学校でべんきょうしたり、友だちとあそんだり、家で家ぞくとごはんを食べたり、おふろに入ったりしているときでも、ほかのところでは、いろいろなことがおこっているんだなあとかんじました。

そして同じちきゅうでも、同じ風がふいているときでも、ぼくの知らないところでは、楽しいことばかりではなく、かなしいことや、たいへんなことがたくさんおこっているんだと思いました。

自分のことや自分の近くにいる人のことだけではなく、となりの町や、遠くの国では何がおこっているのかを考えたり、こまっている人やかなしんでいる人のために何かやくに立てる人になりたい

「ぼくがラーメンたべてるとき」という想像力と共感の範囲を広げることに寄与する作品を書いた作者も素晴らしいと思うし、この感想文を書いた男の子も、卓抜した想像力と共感力を兼ね備えていて素晴らしいと思う。背後には、ご家族や友人、ご近所の皆さんや先生らの様々な温かい人間関係が存在するのかもしれない。あるいはとても悲しい思いをしたことがあるのかもしれない。いずれにしても、この文章が毎日新聞に掲載されることにより、私がそうであったように、多くの人の心に優しさが伝播したと思う。こういう優しさを与える「薬」のような文章に出会えたときには、本当にうれしさが込み上げる。

特に

同じちきゅうでも、同じ風がふいているときでも、ぼくの知らないところでは、楽しいことばかりではなく、かなしいことや、たいへんなことがたくさんおこっているんだ

この部分は、一つ一つの言葉が丁寧に置かれていて、語感とリズムが美しいし、刻印された情熱がまた素晴らしいと思う。宮沢賢治さんのよう。

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